福島からの避難児童いじめに思うこと

今日は、こんな記事がありましたので、いじめ関連書籍の紹介をお休みして、こちらを取り上げたいと思います。

 

news.yahoo.co.jp

東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市自主避難した中学1年の男子生徒(13)が、転入先の市立小学校でいじめを受けて不登校になった問題で、生徒側の代理人の弁護士が15日、記者会見し、生徒の手記と保護者の声明を公表した。生徒は手記の中で「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」などと書き記していた。【水戸健一、福永方人】(毎日新聞)

「賠償金をもらっているだろう」と金銭を強要され、「ばいきん」と言われたそうですが、この背後には大人の影がちらほら見えます。

 

小学生が、「賠償金をもらっている」と発想すること、そして放射能に対する無知、無理解なマスコミ報道、そして大人たちの放射能アレルギーの空気がこのようないじめの遠因になっているのは間違いありません。

 

もちろん、だからと言って、いじめ加害者が許されるわけではありませんが。

 

また、注目すべきは、

  • 「金銭の要求を学校はしっていたのに保護者に知らせなかった。」
  • 教育委員会の第三者委員会が公表した報告書のうち、いじめの内容を記した多くの部分が黒塗りだった

の2点です。学校側、そして教育委員会に積極的にいじめの全容を解明し、解決を図り、次にいじめをなくすために努力しようという姿勢が伺えません。

 

 

11月2日、「いじめ防止対策法の施行状況に関する議論のとりまとめ」が発表されました。

 

教職員の懲戒処分についても言及していますが、提言での懲戒処分に関する記述は、決定前の「素案」よりも大きく後退してしまいました。
「素案」の段階では、本文に、「いじめの情報共有は法律に基づく義務であり、…
対応を怠ることは地方公務員法上の懲戒処分となり得ることを周知する」と記されていました
が、
最終的な提言では、※を付して、
「教職員がいじめの情報共有を怠り、地方公務員上の懲戒処分を受けた事例もある」と
欄外に押しやられてしまいました。

 

いじめから子供を守ろうネットワークでは、「いじめ防止対策協議会」を傍聴しました。
一番紛糾したのが、この懲戒処分に関する議論だったそうです。
前回の会議で懲戒処分が検討されていることが報道されたことで、
同協議会の委員たちからは、

  • 「現場の教師たちは、『オレたちを信用しないのか』と怒っている」
  • 「(周囲の学校関係者たちに)『あなたが委員ならなぜ反対しないのだ』と言われた」
  • 「遺族の方も懲戒処分を望んでいるわけではないと思います」

などと次々に教師側の立場からの反対意見が出されました。
唯一、弁護士の委員が、
「いじめ防止法が施行されてから3年の間に起きている事実を見れば、
いじめ防止法に義務づけられている情報共有を怠った場合には、
地方公務員法により懲戒処分になりうることを明記すべきである」
旨、発言しましたが、
多勢に無勢で、「懲戒処分になりうる」と明記することは見送られてしまいました。
最終的には、この委員が、「反対意見があるとか、事例として書くとか、残してほしい」と言ったことで、
提言では、欄外に、何とか
「教職員がいじめの情報共有を怠り、地方公務員上の懲戒処分を受けた事例もある」の文字が生き残ったわけです。

 

※一部、いじめから子供を守ろうネットワークメールマガジンより引用

 

このように、法律ができたところで、現場が「いじめをなくそう」という思いがなく、自分たちの保身に汲々としている現状では、いじめがなくなる、少なくなるといった「希望」が見えてきません。

 

何より、この現状をみて暗澹たる思いでいるのは、いじめの被害者と傍観者、そして喜んでいるのはいじめ加害者でしょう。

 

こう考えたときに、現場の教師をはじめとする大人としてやらなければいけないことが見えてくるように思います。